CONTINUE 2015年3月20日SHOCK観劇
2015年3月20日、SHOCKを観てきました。
楽しかった。心が揺さぶられた。そして前に一歩踏み出す勇気を貰える舞台でした。そう、いつも通りに。
それでも、今日この日はいつまでも忘れられない日になる。そんな確信があります。
SHOW MUST GO ON
何があってもショーは続けなければなならない。
たった4年前にふぉ~ゆ~の越岡くん目当に観に行き、そこからSHOCKの世界にはまり込んでしまった。私のSHOCKに関する歴史は、そこから始まったとても浅いものに過ぎません。ただ、そこで掲げられるテーマや、NYブロードウェイと和の美の融合が大好きでした。
kotonoha13.hatenablog.com
たまたま落ち込み気味だった自分を奮い立たせようと、もしかしたら迷いに対する答えを貰えるんじゃないかと、ほんの少し前に譲って頂いた。そうして、手にしたチケットでした。
19日17時過ぎだったと思います。Twitterを開くと騒然とした様子のTL。程なく19日の昼公演で何が起こったかを知りました。言い様のない不安に襲われ、何も考えられなくなった。自分がチケットを持っているということは頭になく、ただただ、祈った。何を祈ったら良いかさえ分からないのに。夜公演は中止。いつもならあれほど待ち望んでいたSHOCKの映像が地上波で、ニュース番組でどんどん流れました。
21時は過ぎていたでしょうか。怪我をした6人は本日中に自宅に戻れると報道されました。最悪の事態は免れたと安心すると、今度は今後のことが気になり始めました。明日はどうなるのだろう。行きたい。でも、明日、やるわけがない…。
翌日の昼過ぎ、覚悟をしていながらも目にするのが怖くて恐る恐るTLの更新ボタンを押しました。今日の夜から再開。目に飛び込んできた文字に心から歓びました。SHOCKが、続いた…!でもそれと同時に、一体どんな思いであのシーンを見ればいいのだろう、出演者の顔を見ればいいのだろう、昨日の昼と夜のチケットを持っていた人を差し置いて、私なんかが見てもいいのだろうか、不安と焦りも浮かびました。
会場にはギリギリで入ったため、そして席が2階だったため、報道陣は見えませんでした。それでも、いつもと違う帝国劇場が、チケットを持つ手を震わせているのが分かりました。
18時ちょうど。光一が出てきて静かに話始めました。謝罪の時に漂いがちな悲壮感や、相手に許しを請う甘えのようなものは一切読み取れず、ただ真っ直ぐ前を向いて言葉をゆっくり紡いでいました。
【SHOCK3/20光一挨拶】本日はお越し頂きありがとうございます。あってはならない事故が起きました。15年間やっていて初めてです。あってはならないと分かっていたのに起こってしまいました。6人が怪我をして、その中で岸は病院から大丈夫と言われて本日出演します。4人のアンサンブルが
— ゆりか*英語部* (@yukikota_s2) 2015年3月20日
休演します。今日幕が開けられるか分かりませんでしたが、朝から全員で集まって一つずつ安全を確認していきました。休演するメンバー分を補うために修正をしました。SHOCKはストーリーの中でSHOW MUST GO ONという言葉を使います。何があっても一歩踏み出して前に進むことが
— ゆりか*英語部* (@yukikota_s2) 2015年3月20日
大切だというメッセージを込めています。何より怪我をしたメンバーが、怪我のことより何より穴を開けてしまうことを心配していました。そのパフォーマーとしての意志を受けたいと思います。今日幕を開けることが良くないのでは、批判を受けるかもしれないとも思いました。それでもエンターテイメントは
— ゆりか*英語部* (@yukikota_s2) 2015年3月20日
起きたことを受け止めてまた一歩踏み出すことの大切さを伝えるものだと思っています。SHOCKは何よりそういうストーリーです。僕は帝国劇場のスタッフを信じています。15年間やってきて、安全に対する意識の高さを見てきました。観客の方も、大丈夫かと肩の力が入っているかもしれません。
— ゆりか*英語部* (@yukikota_s2) 2015年3月20日
でも、どうか安心してSHOCKの世界を楽しんで下さい。全ての出演者、メンバーの意志を汲んでステージに立てることを嬉しく思います。
— ゆりか*英語部* (@yukikota_s2) 2015年3月20日
以上、要約です。
状況の説明、再開をする理由、他出演者に対する敬意、スタッフへの信頼、客への気遣い、そして自分のエンターテイメントに対する想い。あの時に言う必要があったことを、一切過不足なく、分かりやすい表現で、話したという印象でした。
今気づいたんですが、光一の言葉って「とても」「すごく」といった無駄な強調語句がほとんどないのかもしれない。そのままを述べるから、その分強い。
その中で一番感じたのは「観客に安心してほしい」そして「エンターテイメントの世界を楽しみ、エンターテイメントの力で前に一歩進むことの大切さを感じてほしい」という願いでした。それは、今回のことがなくても、いつでも、光一がショーをやる上で切に願っていることなんだなって思いました。全ては、観客の明日の一歩のために。
その言葉を聞いた瞬間、不安とか心配とか、何もできない不甲斐なさとか、観客が持っていても何にもならない感情がきれいになくなってショーが始まりました。いつも通りの最高の笑顔、いつも通りの最高のパフォーマンスで、とってもとっても楽しい!そんなステージでした。皆の笑顔がこれほど安心させてくれるものだとは思わなかった。孝良くんの笑顔は、(これまでそれほど見たことがなかったので知らなかったのだけど(笑))口をおっきく開けて笑う大好きな笑顔でした。
個人的な余談ですが、こんなこと、前にもあったなと思い出したのはPLAYZONE2011で郁人がいなくなった翌日のステージです。あのときもたまたま入る時で、状況が全く分からなくて、怪我なのかセットの故障もなのか、怪我だったら一体どの程度なのか。説明もなかったけれど、郁人のいない穴は必要な部分だけでもしっかり埋められて、何よりみんなが普段通りに笑顔で、たまにふざけて、舞台は進んでいきました。それがせめてもの救いでした。カンペキで郁人の代わりを屋良くんが完璧に踊ったとき、A.B.C-Z4人で「5人でひとつのパワーを生み出す」と歌い切ったとき、盛大な拍手がしばらく鳴り止みませんでした。
話を戻します。2015年のSHOCKを見るのは初めてだったので、少なくとも私には、変更点は分かりませんでした。もちろんLEDがなくなったのは分かるけど、何も知らなければ気付かないほど流れるように進められていったと思います。あのシーンは、SHOCKの中で1、2を争う大好きなシーンです。
それでもやっぱり、聞いていて思わず手を握り締めてしまうような台詞はありました。私は今までSHOCkが大好きだと言いながら何を聞いていたんだろうと思うほど、一つ一つの言葉が重くのしかかってくるようでした。
「ショーにハプニングはつきものだ」と笑うコウイチ。
「SHOW MUST GO ON、何があってもショーは続けなければならない」とヤラに吐き捨てるコウイチ。
苦悩するヤラに、傘を差しだすユウタ。
「あんなことがあった場所で、俺ならできないけどな」とつぶやくフクダ。
「続けるんだ続けるんだって…何を続けんだよ!」と叫び問いかけるヤラ。
色々な人の思いが錯綜し、やがて一人ひとりが自分の決意へと辿り着き、自分の信じる道を歩み出す。
「もう一度よく考えて、前に進むということがどういうことなのか。」
「逃げないで、現実を受け入れなくてはならないの。」
このリカの台詞は、光一が最初の挨拶、最後のカーテンコールなどで繰り返した言葉そのままでした。今日幕を開けることが良いことかはわからない。でもエンターテイメントには、しっかりと起きたことを受け止めてまた一歩踏み出す大切さを生み出す力がある。起きたことは、絶対に肯定してはならない。それでも、事故が起きたことで、気付けたことがある。
正解がなんなのか、結局のところは分かりません。死んでいくコウイチは最後に言います。「少し違っていたのかもしれないな」と。
答えを求めてSHOCKに行った私は、きちんと答えをもらって帰ってきました。正解は分からない。それでも、現実を受け入れ、前に進んでいかなくてはならない。そしてもう一つ、オーナーの言葉が救いをくれました。
「疲れた時は休めばいい。迷った時は立ち止まって振り返ればいい。」
カーテンコールでの光一は、少し安心して自分の気持ちを吐露しているかのようにも見えました。言うのが怖い台詞もあったと。でも多くを語るよりパフォーマンスを見て欲しかったと。そして、怪我をした孝良くんは、元気な声をと話を振られ、応えて出た言葉が、
「事故が起きてしまいましたが、僕はSHOCKが大好きで…出たくて仕方なくて…良かったです!!」
見る間に目頭と鼻が真っ赤になって、全く脈絡のない言葉でしたが、これほど心からそのまま出てきたような言葉はないなと思いました。
事故が起こったこと肯定してはいけない。仕方のないことと思ってもいけないと思う。怪我をした方、その家族、事故を目の当たりにした方、19日夜のチケットを持っていた方、悲しい思いをした人はたくさんいると思います。
それでも翌日にSHOCKを再開したことで、光一の言う「前に一歩踏み出すこと」で、良かったことは小さくても一つだけはあったんだと、孝良くんの言葉を聞いた時に思いました。
明日も、明後日もSHOCKは終わらない。今年の公演が終わっても、いつかSHOCKという舞台の幕が降りても、何があっても続いていくんですね。最後にオーナーの言葉を借りて
「いいショーだった。ありがとう。」