咲き誇れ。

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【ネタバレ】ピンクとグレー(小説)感想

思いっきりネタバレしています。
3回目、読了。映画はまだ見ていません。


舗装されてない道を進んでいる印象。文章も少し読みづらくてすっと入ってこないところ、表現が強すぎて拒絶したくなるところがたまにある。洗練されていない。それが読み始めの印象。内容も然りで、ごつごつしてて、歪みがたくさん見えて、荒削りだけどその分なぜか強い。

この作品を読んで、私は色んなことを許したくなった。自分自身の話だけど、私はアイドルを四六時中愛でている一方で、芸能界を毛嫌いし時には憎しみに近い感情を持っていた。その感情には作中で大貴の気持ちを形容している表現がちょうど当てはまる気がする。ごっちの活躍を喜ぶ気持ちと、転落を願う気持ちが強弱なく存在する、という表現。

だけどこの作品を読んだことで、ああそうだったのかと、全てを受け入れられる気がした。当時は時期的なこともあったし、やまぴーのことを考えながら読んでたけど、読み終わった後は、脱退を選んだ彼をすんなり受け入れられた。芸能界に一度足を踏み入れたがためにそれを引き摺って不幸になってるようにしか見えなかったある人のことも。田口の10000字を読んだときも同じ気持ちになった。

オニアンコウになりたいというごっちの言葉があまりにも腑に落ちた。ここではもちろんごっちの心の内を吐露するための例え話で、りばちゃんという親しい人と、という話なので状況は違うが、人に勇気や希望を与えて自身は麻薬漬けの人のように心も身体もボロボロになっていくアイドルを連想させるには、オニアンコウは十分な表現だと思った。

シゲは自分もアイドルだけど、苦しい想いをたくさんたくさんした当事者だと思うけど、もしかしてどこか客観的にアイドルやその他の芸能人の悦びや哀しみを見てる人なのかなと思った。そうでなければ芸能界にいる人が、芸能界のことをはっきりと「中毒」だと言い切ることはできない気がして。

ファレノプシス。蘭。人が集まってビルのようなものを形成し、その頂上で美しく花開く。それは一瞬で、その一瞬後には美しく回転しながら散って終わり。その終わりが全ての終わり。

シゲにとっての芸能界はこんな感じなんだろうか。

初読時にも思ったことだけど、3回目の今回も思った。冒頭で書いた読み進み辛さは後半ではほとんど感じない。一度こぼれた水が速度を増して落ちていくように、でこぼこ道をそのスピードを持ってして滑らかに進んでいくかのように。

とにかくどんどん加速して行って最後にバッシャーーン!となる。最後に向かうシーンで頭に浮かぶのはEndless SHOCK。そして最後の最後のシーンはなぜかジャニーズワールドで見た光景に繋がる。ステージに魅了され止まることができないカンパニー、そして狂気に支配されて恐ろしいほど美しいステージを造り出すプロデューサー。

ところで62分の衝撃の予想。最初は映画から始まる。その映画は菅田くんが主役。裕翔は「どちらかというとごっちに似ている若手俳優」役。そして62分で映画が終わり、本来の役になる。つまり、ごっちは裕翔で菅田くんがりばちゃん。でもそれだとあの美しい最後のシーンが真ん中に来ることになるな…。さてどうなるのでしょう。今夜見てきます。